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蕎麦はたぐる?

  • 執筆者の写真: ピーカン
    ピーカン
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

いきなりですが、皆さん、蕎麦を食べるときはどのように表現しますか?


蕎麦を「食べる」、「すする」などの表現が思い浮かぶのではないかなと思いますが、東京の下町では、蕎麦を「たぐる」と言うそうです。「たぐる」というのは漢字で書くと、「手繰る」と書きます。「手繰る」は、糸や縄などを、両手を使って少しずつ手元に引き寄せる動きを表す言葉です。


蕎麦は両手を使って食べないのにどうして「手繰る」という表現になったのでしょうか?


この言葉の由来は、江戸時代の大工さんたちの隠語にあると言われています。当時、大工さんたちは蕎麦のことを「下縄(さげなわ)」と呼んでいたそうです。これは、土蔵の壁に使う縄を指し、「縄を手繰る」という動作が、蕎麦をすくって食べる動きに似ていたことから、「蕎麦を手繰る」という言い方が広まったようです。


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前置きが長くなりましたが、この「蕎麦をたぐる」という言葉を初めて知ったのは初任者研修のときでした。


講師の先生が高齢者の方の訪問介護のヘルパーとして働き始めたころのお話で、利用者さんが「蕎麦が食べたい」と仰ったので、蕎麦を調理されたそうです。その利用者さんは箸がうまく使えないので、先生は蕎麦を細かく切って提供しました。


すると、利用者さんが「蕎麦はたぐるもんだろ!なんだこれは!こんなん、食えねえよ!」と大変怒られたそうです。


おそらく、教科書的には箸をうまく使えない方のために蕎麦を細かく切ることは正解かもしれませんが、その利用者さんはずずっと蕎麦をすすることを楽しみにしていたのにも関わらず、細かく切られた蕎麦を見て怒りと同時に悲しかったのではないかなと思います。


私たちヘルパーの仕事はこのエピソードからわかるように利用者さんそれぞれに正解があり、教科書の正解を全ての利用者さんに当てはめることはできません。その利用者さんのときにしか使わないハンドサインや声掛けなどがたくさんあります。

この部分が難しさでもありますが、ハンドサインや声掛けが伝わったときは達成感を感じます。


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ちなみに講師の先生は福祉用具専門相談員の方の力を借り、その利用者さんが使える箸を用意し、再度蕎麦を作り、無事に「蕎麦をたぐる」ことができたそうです。

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